それでも……理由を知りたい気持ちの方が、勝っていた。

あと、愛海の一番の理解者でいたいという独占欲。

「誰かなんて相手、いないし」

あたしの言葉を聞いた愛海は、苦笑して。俯きながらもあたしに近付くと、

カツン。

青色のあたしの傘と、ピンクの愛海の傘が、ぶつかった。


「あのね……好きな人が出来たんだ」


重なったふたつの傘の中、恥ずかしそうに言った愛海。


「……」

今、何て言った……?

あたしは声が出せないくらい、呼吸をするのも忘れるくらい、驚いた。


「……海憂?大丈夫?」

「おーい」と、あたしの顔の前で手を振る愛海。

「え……あ、うん」

呼吸を調えて、ゆっくりと頭で言葉を理解する。

“好きな人が出来た”

それは……。

「誰……?」

落ち着こうと思うのに、鼓動は早く、震える口元。