冬桜 −二度咲くモノ-

「蘭さん、僕は心臓が悪くて、次に大きい発作が起ったら、もうもたないだろうって言われているんです。

なぜだか、僕のこと蘭さんには知っていてほしいと思って。」

とはかなげな笑顔を見せた。


「僕は小さい時に両親を亡くしました。

その後、施設で中学校卒業まで過ごしたんですが、中学生の時に中溝さんにスカウトされて、この人なら信じられると思って体のことも全部話したんです。

その上で、全力で支えるからって言ってくれてこの仕事を始めました。」


今までのことを思い出しているのか、遠い目をしてしばらく黙り込んでいた。