「んー……遠い。いくらあたしでも見えないなー……」
視力はいいほうだけど、さすがに無理だ。
単に紙すら人で見えないし。
「しょうがないよ。そのうちいなくなるから、気長に待と」
背伸びを精一杯するあたしの肩に手を置いて、首を横に振る洸。
「そっか……そうだな」
そう納得したとき。
「あ……洸様? お隣にいっらっしゃるのは……梓様ですか?」
知らない女の子に声をかけられたあたしたち。
「はい。そうですが、どうか?」
突然声をかけられてうろたえるあたしを他所に、にっこりと受け答えをする洸。
カッコイー……。
大人、て感じだ、同い年なのに。