空港には、たくさんの人がいた。
「……多分こっちの方」
案内板を見て、手招きしてくれる興絽さん。
「……紺!!!」
こんなところで叫んだら、迷惑だって分かってる。
こんな王子様みたいな格好、滑稽だなんて分かってる。
でも、ちょっとでも人目を引ければ……!
「紺ー!!!! あたしだ!! アズだよ!!!!
お願い、気づいてんなら来て……!!」
だんだん、あたしを遠巻きに見る人が増える。
「紺……!!!」
……喪失感が溢れてきて、視界が滲む。
「……何やってるんだよ、王子様」
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