だとしたら……いったい誰なの?


掲げた明日香の腰を、胸の前で再び抱き締めて、その人影が現れるのを待っていた。


すると、下足箱の陰から姿を見せたのは……。











「チッ……相島かよ」












携帯電話の明かりを私に向けて、そう呟いたのは……袴田だった。


どうして袴田が生きてるの?


二見が殺されてるのに、袴田がここにいるわけがない。


「は、袴田君……生きてたの?」


私は、震える声でそう尋ねた。


「何だよ、俺が生きてちゃ悪いのかよ? あぁ!?」


言葉選びを間違った……袴田を怒らせてしまったようで、暗くてその顔は良くは分からないけれど、きっと私をにらんでいる。


でも……袴田が動けるのなら、カラダを棺桶に納めてきてもらえないかな。


「は、袴田君。あ、明日香の腰を見つけたの……そこのホールに、棺桶があるはずだから……これを入れてきてくれないかな?」


怖い……伊勢と殴り合っていた印象が強くて、言葉まで乱暴な袴田が。


「あぁ!? 俺に命令してんじゃねぇよ!! 俺が死んだと思ってたなら、テメェが運べ!」


「お願い……お願いだから、これを棺桶に……じゃないと、永遠に明日が……来ないよ」


袴田が怖くて、手も声も震える。