『「赤い人」が、工業棟二階に現れました。皆さん気をつけてください』
校内放送が流れて、私達は廊下に出た。
生産棟三階の東側は、結子が私達を探しに来た日に調べたから、西側に移動する事になる。
「良かった、ここには来そうにないね。調べるなら今のうちだよ」
留美子と一緒に生徒会室と視聴覚室の前の廊下を歩き、西側へと向かう。
「私は習字室の隣から調べるからさ、留美子は反対側から調べて。いいかな?」
「あ、うん。それで良いけど……習字室の隣だったら、廊下をまっすぐ行った方が早かったんじゃない?」
「それもそうだね。考え事をしてて、ついこっちに来ちゃった」
なんて……嘘なんだ、ごめんね留美子。
私は工業棟に行ってくる。
行ったところで、「赤い人」に殺されるだけかもしれないけど、逃げているだけでは美子を解放する事なんてできないから。
そんな事に、留美子を巻き込みたくない。
「じゃあね、合流したら一階を手伝おうね」
そう言われてうなずいた私は、生産棟の北側へと向かった。



