トントントン


部屋の中に響きわたる包丁の音。



「きゃはっははっ」



「あははっ」


 
それと一緒に響く、2人の子供の声。


そして、私の左の薬指に光るリング。



「「ママーっ!」」



「もう、夢(ゆめ)、玲(れい)。危ないよ?」



私の両足に抱きついてくる、小さな女の子と男の子。



「ママは夢のーっ!」


 
「ちがう、玲のだよ!」



「ほらほら、喧嘩しないの。ママはみんなのものよ?」



そう言うと、大人しくなってくれる。



「ママ、今日のご飯なぁに?」 



「今日はね、みんなの好きなオムライス」



「ほんとー?」



「やったぁ!」



オムライスと聞いてはしゃぎ始める2人。