「……ひゃっ」 バサっと音を立てて、何かが倒れる音がした。 本当にかすかな物音だったけど。 「ね、俺にしよ?」 「やめて、李徠っ」 その状況を判断するのに、そんな時間はかからなかった。 もし、玲奈が李徠のことが好きなら、このまま見過ごそうかとも思った。 そうなんだとしたら、今俺が出ていったところで、邪魔者なだけだ。