「やめて。もう、良いから。もう………………」 それから俺は玲奈に何の言葉もかけられなかった。 観覧車を降りてすぐ、玲奈は遠くへ走って行ってしまった。 呼び止めようとも思った。 追いかけようとも思った。 全速力で走れば、玲奈になんて簡単に追いつけたはずだ。 でも俺は行かなかった。 というより行けなかった。