その時の俺はもう玲奈の声は聞こえてなんかいなかった。 そうだね、そう答えた記憶もない。 「れーなしゃん」 「何?」 俺は、何を思っていたんだろうか。 「……んっ」 気が付いたときは、もう玲奈の唇を奪った後だった。 「やっ!」 「あっ…………ごめん、玲奈」 玲奈に突き飛ばされて我に返る。 何してんだよ俺。