「そうだ。その情報は、どこで?」



「見世物小屋にいた、同じ異形の友達が、話していたの」



「そうか……じゃあ、スメラギがどういう身分の者かも知らないのか」


「知らないわ」


 エルがきっぱりと答えると、ゼンはそうか、と呟いて、また黙って考え込んでしまった。



(なんなのよ、一体)


 ゼンはどうやら、エルに特定の事柄についての記憶がないことを、ことさら問題視しているようだ。


だが、エルにとっては、あまり関心のないことだった。


それはもしかしたら、記憶を失う前から知らなかったことなのかもしれない。


それに、エルのような異形というのは、大概が幼少時に研究者に売られ、

実験台にされたあげくに動物と融合された者だ。


エルの過去も大方そんなものだろう、とローレライが言っていた。


もしそうなら、そんなことは思い出したくもないと思った。



「ねえ、結局PKってなんなの?」


 難しい顔をしたまま動かないゼンを見ているのにもいいかげんに飽きたので、エルは尋ねた。



 ゼンは驚いたような顔でエルを見て、「ああ、悪いな」と謝った。


どうやら、それまでエルの存在を忘れていたようだ。



「PKっていうのは、サイコキネシスの略」


「サイコキネシス?」