その場にいた全員がどよめいた。

エルもゼンも、驚いて目をむいた。

これからよろしく、と、麻由良は言ったのだ。

つまりは、隊商の仲間として引き入れる、と。



「しかし麻由良さん、あんな化け物を隊商に入れるなんて、危険ですよ!」



 真っ先に反対したのは、例によってガランだ。



 だが、ガランが続けてなにか言う前に、麻由良がそれを制した。



「危険? エルが? ゼンの後ろに隠れてびくびくしてる娘が、そんなに危険か?」



「そうです! あの化け物は、モウセンゴケを倒したんですよ!」



「そうだね。彼女がそうしなければ、君も私も死んでいた。

感謝こそすれ、危険な化け物と呼んで遠ざけるべきではないと私は思うが」



「でも、助けたように見せかけて油断させて……」



「油断させる必要がどこにある。それは弱者のすることだ。

彼女に例えば私たちを皆殺しにするという目的があるとして、彼女のような圧倒的な強者ならば、私たちを油断させて寝首を掻くような真似をしなくとも、今この場で私たちを皆殺しにできるだろう。違うか」




 厳しい口調で言われて、ガランは口ごもった。


そこに麻由良がさらに追い打ちをかける。