リーラはとたんにきらきらと眼を輝かせて、先ほど自己紹介をしたときの慎ましさを放り出して、

「ルドリアに、メオラね。どうぞよろしく。でもまさか、ルイーネの王女様だったなんて。あたくしったら抱きついたりして、とんだ失礼をしたわね。

でも、あなたがラシェル兄様のお妃様なのでしょう?だったら、あたくしたちもう家族だから、あたくしの無礼もお許しくださいな。

……ああ、名前は呼び捨ててしまって構わなかったかしら?あたくしは、身分がそう離れていなくて、親しくしたい方には、敬称をつけない主義なのだけれど。

なんなら、あたくしのことも、リーラ、と呼んでくださいな。敬語も使わなくて結構よ。あんな堅っ苦しい言葉、まったく誰が生み出したのでしょうね、そう思わない、ルドリア?

……あら?ルドリアって名前、すこし長いわね。ルディって呼んでいいかしら?」



 と、エルマが割って入る隙もなく、一気にまくし立てた。



 リーラの言葉のまずどこに返事をすればいいのかわからず、エルマが唖然とした顔のまま立ちつくしていると、リヒターが苦笑して言った。



「ごめんね、リーラ、女好きなうえにお喋りなんだ」



 いえ、そんなことは、と微笑もうとして、エルマはしかし、聞き捨てならない言葉を聞いた気がして、笑みを形作る途中で硬直してしまったような微妙な表情を浮かべた。



「お……女好き、ですか」


「そう、可愛い女の子が大好きなんだ」


「えっと、……そういう方も、いますよね……」