*11*


 天幕から出たリヒターは、すぐ近くにいたカルを呼びとめて、野営地の案内を頼んだ。



 だが、カルは頷きも歩きだしもしない。

その思いつめたような表情に気づいたリヒターは、カルに歩み寄ったが、カルはそれを拒むように一歩下がると、リヒターの目も見ずに訊いた。



「話は済んだのか?」



 リヒターは足を止めた。



「済んだよ」


「エルマは、いつ発つ?」


「たぶん、明日だろうね。すぐにでも王城に来てもらいたいし」


「……メオラは、エルマとあんたらのゴタゴタに、関係あるのか?それとも、ただ巻き込まれただけなのか?あのときエルマと一緒に行って、話を聞いてしまったから、とか、そういう理由で……」


 リヒターは目をぱちくりさせた。カルがそんなことを訊く意図がわからなかった。