「明日が楽しみだな。今年は報告したいことがたくさんあるんだ」



 旅の話。

テオとマリが結婚したこと。

カームはまだまだ元気で少し前にも熊を倒したこと。

――エルマが子を、授かったこと。



「それは、メオラの方もそうだろうな」



 にやにやしながらそう言ったカルに、エルマが首を傾げて見せると。



「今日城下へ行ったときに、顔見知りの近衛兵に聞いたんだ。シュタインの国王陛下と王妃との間に、つい最近王子が生まれたらしい」



「「えぇ!?」」



 二人分の素っ頓狂な声が丘に響いた。



「カル、それ本当か!?」



「おう。近々ルイーネ王とルドリア姫が直々に慶祝の挨拶に来るんだと。エルマ姫は参加しねえの?」



 エルマは苦笑して、「さあな」と返した。


「エルマ姫」はその後、シュタインの大貴族と結婚した、ということになっている。


たまに人前に出さなくてはならないときにはルドリアがエルマ姫を演じるのだそうだ。