後から後から流れ出る涙を止めもせず、エルマはメオラを強く抱きしめる。


その腕の中で、メオラの薄い肩が震えた。



「毎年、夏になったらシュタインに来るから、そのときは会いに行くからな」



「エルマ……ばか」



 メオラは言って、エルマを強く抱きしめ返す。



「せっかく泣かないようにしてたのに……っ」



 抱きしめあったまま子どものように泣き出した二人を見て、カルは「あーあ、しみったれたのは無しだっつったのに」と、呆れたように笑った。するとラグが、


「でも、カルもちょっと目が赤いよ」


 と言って笑う。



「うっせーよ」

 と、カルがラグを睨みつけたとき。



 扉を叩く音がして、入ってきたのはフシルとレガロ、そしてラシェルだった。



 予想だにしなかった光景に、三人ともきょとんとして立ち尽くした。


そんな中、ラグが「ラシェル殿下」と呼びかける。



 呼ばれたラシェルは緊張した面持ちで、「あなたは、メオラの兄君だったな」と、応えた。