「さて、」
菓子を食べ終えると、カルが立ち上がる。
「そろそろ時間だ」
「ん。……行こう」
ラグも頷いて立ち上がる。
次いで、メオラとエルマも。
いつになく沈んだ顔をしたエルマの肩をカルがぽん、ぽん、と叩いた。
「メオラとも、ラシェルたちとも、べつに今生の別れじゃねぇんだ。しみったれたのは無しにしようぜ」
「……そうだな」
エルマは頷き、歩き出した。
コツ、コツ、と、数歩分の靴音が部屋に響いて、エルマの手が扉を開けようと伸ばされ――ふいに止まる。
どうした、と、カルが声をかけようとした、そのとき。
突然、エルマが勢いよく振り返った。
そして、大きく一歩踏み出す。
ひらりとエルマの緑の髪がなびいた。
「メオラ……!」
湿った声で友の名を呼んで、エルマはメオラに抱きついた。
「メオラ、元気でな」
エルマがラグとメオラをアルの仲間に迎え入れてから、ずっと、メオラはエルマの一番の友だった。
もう十年以上一緒にいる、唯一無二の友だ。



