「うるせえな。俺はエルマがお姫様なんて死ぬほど似合わねえと思ったがな。どっちかっつーと、王子の方がまだマシだ」



 カルが言い返すと、「よね」と、メオラが深く頷き、ラグが吹き出した。

それを見て、エルマは肩をすくめる。



「ひどいな、おまえたち。でもまあ、それは認める。結局、メオラが一番ぴったり役にはまってたな」



「侍女がぴったりって、嬉しくないわ」と、ふてくされたようにメオラが言うと。



「メオラは、最初の頃はラシェルやリヒター相手にものすごく棘々してたよな」



 懐かしむように、まぶしげに目を細めて、エルマが言った。



「そりゃあ、だって許せなかったんだもの」



「じゃあ、今は許したのか?」



 エルマの言葉に、メオラは虚を突かれて一瞬動きを止める。


そんなメオラに、エルマは「残るんだろう?」と、優しく微笑んで言う。



「エルマ……知っていたの」



「うん、ラシェルに聞いた」



 ラシェルに聞いたエルマから、カルとラグも聞いていたのだろう。


さして驚いた様子もない三人に、メオラは困ったような笑みを浮かべた。