「大恩あるシュタインとの戦は決してまかりなりません!
どうか両国の民よ、互いの怒りの剣を納めてください。あなたたちが戦う理由など、どこにもありません」
――国同士が和平を結んでも、民の心にわだかまりが残っていては意味がない。
だから目的は、両国の民が互いの国へ好意をもつきっかけを作ること。
ルイーネの民には、敵であるはずのルイーネ王女を救ったシュタインの義心を、シュタインの民には、救われた恩に報いようとするルイーネの誠心を示す。
そう言ったエルマの背中越しに見る両国の民の目には、もう「偽ルドリア」への憎しみは映っていない。
(そろそろだよ。テオ、マリ、――みんな)
集まった群衆を眺め、そこからは見えないテオとマリや、アルの仲間たちに、ラグは呼びかける。
合図はエルマの言葉だ。
「両国の民よ。ルイーネ・シュタイン両王家は、このイスラ半島の平和のために共に手を取り合うつもりでいます。……あなた方も、この手を取ってくれるでしょうか」



