Elma -ヴェルフェリア英雄列伝 Ⅰ-




 沈黙がざわついた。

どういうことだ、どうなってんだ、と声が上がる。

一国の王と姫が、民に頭を下げたこと。

そして、偽ルドリアが存在しないはずの第二王女を名乗ったことに。



「今回のこと、責はわたくしにあります」



 エルマに代わってルドリアが言う。



「婚約のためシュタインへ移る日、わたくしは病に伏しておりました。しかし、この婚約は――それによる和平は両国の悲願。

わたくしの病のことが公になれば、民にはさぞ不安であろうと考え、シュタイン王子ラシェル殿下と相談した結果、エルマにしばらくわたくしのふりをしてもらうこととなりました」



――まずラシェルの名を出すことで、両国ともに責があることを暗に示す必要がある。〝第二王女エルマ〟についての説明は、それからだ。



「今までシュタインにいた〝ルドリア〟は、ここにいるエルマです。シュタインの民は、偽の王女を送り込まれたとさぞお怒りでしょう。

しかしエルマは、たしかにルドリアではありませんが、わたくしの双子の妹……歴としたこの国の王女です」