でも、それも今日で終わりだ。


「エルマが、終わらせる」



 ラグは馬から降りると、マントのフードをしっかりかぶって酒屋に走っていき、慌てたふうを装って、暴れる男たちに「おいっ!」と怒鳴った。



「 そんなことしてる場合じゃないぞ!」


「あ? なんだおまえ」


「中央の広場に、例の偽ルドリア姫が来てるんだと! 本物のルドリア姫と、ディネロ王も一緒だ!」


 ラグの言葉に、男たちだけでなく、涙目だった少女とその父親らしき酒屋の主人までもが目を見張る。



「あんたそれ、本当か!?」


「本当だよ! なんでも、偽ルドリア姫騒動の説明をしてくれんだと。戦争はしねぇって約束してくれるって、もっぱらの噂だ!」



 急げ、と、ラグが言うと、男たちは我先にと店を出て、広場へ走っていく。

その後に、主人に言われて少女も酒屋を出て行った。主人は店番らしい。