「メオラ殿やカルや、エルマ様が王城にいてくださるのも、あと少しなのですね」



 お三方が去ってしまわれると、心細くなります。

そう言って、フシルは寂しげな笑みを浮かべた。



 だが、メオラの方はどうしてあと少しなのかがわからない。王城を去る、なんて話はなかったはずだ。



 メオラが首をかしげると、

「だって、もうじきエルマ様がルイーネから帰ってくるのでしょう? そうすれば、三人ともアルの元へ帰るのだと、ラシェル殿下に伺いましたが……。違うのですか?」

 と、フシルも首をかしげた。



 どう答えればいいのかわからず、メオラは黙り込んだ。

そんな話はエルマからもラシェルからも聞いていない。

おそらくラシェルとエルマの間だけで交わされた話なのだろう。



 帰れる、のだろうか。

本当に、アルに帰れるのなら……またエルマの率いるアルで、兄と、カルと、みんなと笑い合えるのなら。



 それは、この上ない幸せのはずなのに。