*5*


 エルマたちは結局、ルイーネ王宮の正門から堂々と入って、王宮内で最も豪華な客間に通された。



エルマの存在をサリアナに知れた以上、どうやらディネロはもうエルマを隠すつもりはないらしい。



 客間に荷を置いてすぐに、エルマとラグはディネロに呼ばれて部屋を出た。



 ディネロについて廊下を進み、さほど遠くまで行かずに、三人はある部屋の前で立ち止まる。



その扉の奥に何があるのか、エルマにもラグにも予想がついた。



「ルドリア姫がここに?」



 エルマが問うと、ディネロは一瞬驚いた顔をして、すぐに頷いた。



「ルディ、入るぞ」



 ディネロが言って、扉を開ける。



 窓辺に立っていた、緑の髪の少女が振り返った。



「あなたが、エルマ……?」



 細い声で言って、細い首をことんと傾けた少女は、エルマと全く同じ顔をしていた。



 だが、話し方や立ち居振る舞いのせいか、エルマよりも淑やかな印象を受ける。



「お初にお目にかかります、ルドリア姫。エルマと申します」