「誰から?」
エルマが問うと、ディネロは沈黙する。その瞳が迷うように揺れた。
そして、長い長い沈黙の後。
「……母上、からだ」
呟くように、低くそう言った。
それを聞いてエルマは納得した。
以前、クランドル領でカームに言われたことを思い出す。
イスラに残る古い慣習――双子が生まれたら、後から生まれた方が悪魔だ、という。
ディネロの母、つまりルイーネの国母は、島国ウィオンの出身だ。
辺境の島国の、それも古い伝統や格式を固く守っている王族であれば、そんな迷信を未だに信じていてもおかしくはない。
ならば、自分の生んだ悪魔の子が、まだ生きていると知ればどうするか、想像に難くない。
(――こうなると、もう疑いようもないな)
エルマはルイーネの王女で、アンバー王家の次女で、ディネロの妹であり、ルドリアの双子の妹。
それはもう、ごまかしようのない事実なのだろう。



