「……えっと」
そもそもディネロに会いにルイーネへ来たのだ。
予想外のところで会ったから何を言えばいいのか、なんて切り出せばいいのか、とっさに頭に浮かばない。
そうこうしているうちに。
「妹よ、城へ来ないか。落ち着いて、ゆっくり話がしたい」
それは、願ってもいない申し出だ。だが、エルマは頷くことができないでいた。
(だって、都合が良すぎる)
ディネロに会いにルイーネまで来て、そしたら国境の街に本人がいて城へ来いと招かれる。
――あまりにも、できすぎてはいないだろうか。
だが、そもそも危険を承知の上で来たのだ。
最初から、ディネロに会いに王宮へ行くための手段には危険な道しかなかった。
シュタインの使者として赴くか、強行突破の二択だ。
どちらも命の危険を伴うものであることは、はじめから覚悟していた。



