Elma -ヴェルフェリア英雄列伝 Ⅰ-




 頷いた男を、エルマはまじまじと見つめた。

ラシェルから事前に聞いた話では、ルイーネ王ディネロは黒い髪に、エルマと同じ紅い瞳をもつという。



目の前の男は、まさにその話と同じだった。



「……妹、といったか」



 エルマは小さく言う。



「……じゃあ、やはり双子だったのか。――わたしと、ルドリア姫は」



 驚きはしなかった。予想はできていたから。



信じられないことではあるが、なぜか妙に納得してしまっている自分がいるのを、エルマはどこか他人事のように感じていた。



「とりあえず、離れましょうか」



 唐突に、ずっと黙っていたラグが言って、エルマの腕を引く。


ディネロから引き剥がされ、エルマはすこし呼吸が楽になった気がした。



 そうなってから、自分が緊張していたことに今更のように気付く。