そうしてようやくエルマのもとへたどり着いた男は、エルマを愕然と見下ろしながら、呟くように、言った。
「…………ルディ、なのか?」
怪訝な顔をしたまま、エルマは固まった。
ルディ、とはルドリアのことだろう。だが、ルディと呼ぶということは。
「あなたは? ルドリア王女と親しい者か?」
エルマは厳しい声音で問い返す。
「ルディじゃないのか……?」
「違う」
きっぱりと答えると、男は再び目を見張る。
そして。
「……生きて、いたのか」
「え」
長い腕をそっと持ち上げると、――エルマをそっと、抱きしめた。
「え、ちょ……っ」
「生きていたのか。――妹よ」
慌てて押しもどそうとしたエルマだが、その潤んだ声を聞いて、腕の力が抜けた。
(妹……? じゃあ、まさか)
エルマが、ルドリアの双子の妹だと。
そういう憶測はどこかにあった。
それが正しいとして、そうしたら、この人は。
「ルイーネ王、ディネロ陛下……?」
「いかにも」