「入っていいぞ」とエルマが答えると、ラシェルが遠慮がちに扉を開き、入ってくるなり吹き出した。



「……なんか、懐かしいな」



「そうだな。ラシェルに初めて会ったときと同じ格好だ」



 エルマが頷くと、メオラがにやりと笑った。



「ラシェルがふざけて偉そうな態度を取ってたときと、ね」



「メオラ……いいかげん、それは忘れてくれないか」



 気まずそうに視線を逸らすラシェルを見て、メオラはくすくすと笑う。



 それを見て、エルマは小さく首を傾げた。



(そういえば、メオラは最初かなりラシェルを嫌っていたよな……)



 いつの間に、こんなに仲良くなっていたのだろう。記憶を遡ってみても、思い当たらない。



 なんか、夫婦みたいだな。

苦い顔のラシェルと、彼をからかうメオラを見ていると、自然とそう思った。



「あ、そうだエルマ」



 ぼんやり考えているとメオラに呼ばれて、エルマは慌てて「どうした?」と訊く。