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「ねえエルマ、本当に行くの」



 エルマが自室で着替えていると、メオラが背中に問いかけた。



「もちろん」


 と、エルマは迷わず答える。



そして振り返ると、「これ、よろしく」と言って、メオラに脱いだドレスを手渡した。



 メオラは不満そうな顔をしながら、それでもドレスを受け取る。



「……エルマはやっぱり、そっちの方が似合うね」


「うん、わたしもそう思う」



 エルマが今着ているのは、王族の纏うドレスではない。


王城に来る前、アルにいたときに着ていた服だ。



 男の着るようなズボンを短く切って、すらりとした細い腿を晒し、使い込んだ皮のブーツを履いている。

腰まである長いマントを羽織り、その背には矢筒と弓を背負い、髪は耳の下で二つに束ねた。



 最後に短剣を腰のベルトに差して、よし、と小さく呟いたとき。



 コンコン、と扉を叩く音がして、「着替えは済んだか?」と、ラシェルの声が尋ねた。