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 処刑場の広場はすでに見物に来た民衆に囲まれていた。



 乾いた空気とむせ返る人の熱気に包まれて、エルマは付き人に促されるままに、用意された王族貴族用の席に腰掛けた。

その後ろに、カルとフシルが黙って控える。



 レガロとイロもすでに到着して席に座っていた。

他にも顔の知らない貴族たちが大勢いる。



 二人の兵に両腕をがっちりと抑えられて、リヒターが処刑場へ歩いてきたのは、エルマが到着して間もない頃だった。



 リヒターは黙ったまま処刑台の前まで来て、ちらりとエルマを見る。

そうして、いつもの柔らかい笑みを浮かべた。



 エルマは膝に添えた指先にぎゅっと力を込めた。

そうやって全身を硬直させないと、走り出してリヒターを逃がそうとしてしまいそうになる。



 処刑台の前にリヒターが立ったのを見て、イロがスッと立ち上がった。

そうしてリヒターの数歩前まで行くと、手に持った黒い筒から丸めた羊皮紙を取り出した。