呟いて、エルマはふいに顔を上げた。


どこか呆然としてメオラをまじまじと見つめるエルマに、「どうしたの?」とメオラが尋ねる。



「今、何て言った?」


「え?」


「そもそも本当に病なのかすらわからない、そう、言ったな?」



 ただならぬ様子のエルマに、メオラはきょとんとしながら頷いた。



「ええ。だって、聞いたこともない病だから。病じゃなくて……中毒とか、そういう可能性もあるんじゃないかって……」



「メオラ、でかした!」



 突然大声を上げて立ち上がったエルマに、メオラは目を丸くして「ど、どうしたの?」と問う。

しかしエルマはそれには構わず、メオラの手を取って部屋を飛び出した。



「小さい頃に聞いたことがある。……病だと思い込んでいたから気がつかなかった」



 言いながら、エルマはラシェルの部屋の扉を軽く叩く。

そして「誰だ?」と返ってきた声に、「わたしだ。すぐに出てこい!」と声を抑えながらも強い口調で言った。



 エルマはそのまま、ラシェルが出てくるのも待たずに、隣のカルの部屋も同じように叩いた。

慌ただしい気配に気づいて、アルの一同も部屋から出てくる。


「エルマ、どうしたんだ」


 緊張した面持ちでカルが尋ねる。

エルマは一つ頷くと、「確認したいことがある」と言って全員の顔を見回した。