メオラにはその表情が、ひどく悲しげに見えた。



「仕掛けたのはあの方だろうが、実行犯は誰だ? メオラ、心当たりはあるか」



 残念ながら、ある。



 メオラは立ち上がると、「カルはここに残って、それ以外はついてきて」と言って、エルマの部屋を出た。



 向かった先は、すぐ隣の自室。

強く唇を噛んで、メオラは勢いよくその扉を開けた。



 部屋の中を覗き込んだ一同の視線の先には、部屋の隅でなにかに怯えるように毛布にくるまって震える――ジラの姿があった。



「ジラ、訊きたいことが……」

「ごめんなさい」



 メオラが言い終わるよりも早く、ジラが言った。



「ごめんなさい! わ、わたし、弟を人質に取られて……ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」



 ジラは狂ったように繰り返して、ガタガタと震える。

床には割れたビンの破片と、乾燥させた草をすりつぶしたような緑色の粉が散らばっていた。



――確認の必要は、もはやない。



 フシルがサッと動いて、王子妃を毒殺しようとした女を捕縛した。