得体のしれない何かがあたしの足元にいる。 黒い黒い穴の中からそっと手を伸ばし、あたしを引きずり込もうとしている。 このままきっとあたしは引きずり込まれるんだろう。 そして、二度と出ては来られまい。 「桜……――助けて……」 そう呟くと、 『大丈夫。あたしが莉乃を助けてあげる』 どこかで桜の声がした気がした。