あたしは前に向き直ると慌てて駆け出した。

怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。

やめて、見ないで。

こっちを見ないで。

誰が味方で誰が敵か……

誰がストーカーで誰がストーカーでないかが分からない。

今、目が合った女子生徒がストーカーでないと分かっているはずなのに動悸が止まらない。

けれど、今にも叫び出しそうなぐらい恐ろしくてたまらない。

被害妄想だと分かっていても、周りにいるすべての人があたしを見ている気がする。

自分に悪意を向けている気がする。

翔が豹変したように、他の人もまたいつか急に態度を変えるかもしれない。

『莉乃は俺のものだ。俺だけのものだ。市川にとられるくらいなら、殺してやる!!!』

翔の言葉がグルグルと頭の中を駆け回る。