「帰らせないよ」 翔は唇の端をクイッと持ち上げて笑う。 大好きないつもの笑顔とは全く違う表情で笑う翔。 狂気的なその笑みに鼓動が早くなる。 「莉乃、どうしてそんなに慌ててるの?」 「べ、別に慌ててなんかいないよ……?」 「そう?」 「そ、そうだよ!」 「さっきさ……」 「えっ?」 「莉乃、言ってたよね?どうして白石の首を絞める必要があったのかって」 「うん……」 ごくりと唾を飲み込んだ音が部屋に響いた気がした。