「保健室での翔……まるであたしの知らない人みたいだった」 「何言ってるんだよ」 無表情とはこういうことを言うのかもしれない。 表情から翔が何を考えているのかが全く見えてこない。 黒い瞳の奥が読めない。 保健室で見た、好未の首を締め上げる攻撃的な翔を思い出して背筋に冷たいものが走る。 今度首を絞められるのは好未じゃなくて、あたしかもしれない。 一瞬、身の危険を覚えた。