ナガトさん的には、お兄ちゃんといってほしいらしく、いつもちょっかいを出している。逆にミュラはナガトさんが嫌いなようで、口がさけてもお兄ちゃんとは言わない。
「あ、兄さんとは言った」
「あっ…。で、でもお兄ちゃんとは死んでも言わないんだからね!?カイト行くわよ!」
「お~頑張れよ。お兄ちゃんはいつでもお前らの味方だからな!」
強調して言ったお兄ちゃんに、ミュラは舌打ちをして食堂から出ていった。
直ぐに後を追おうとした俺の腕をつかんで、ナガトさんは言った。
「あいつさ、あんなんだけどよろしくな?今回の仕事のペア、ミュラにしたのは他でもねぇ…」
ナガトさんは溜めて溜めて遂に言った。
「俺の気分だ!」
「……は?」
気分で仕事のペア決められちゃ困るんですが。しかも、貴方部署ちがうじゃないですか。なんで俺らのペア決めてるんですか。
「まあ言いたいことはよく解る。ま、知り合いがいてな。そいつに頼んでペア組んで貰ったんだ。その代わり、後ですき焼き奢ることになったけどよー」
「自業自得ですね。それじゃ俺は行きます。もう今後そんなことしないでください」
頭を軽く下げ、ミュラの後をおう。
「……またやろうかな」
ナガトの楽しそうな呟きは、誰も聞いてはいなかった。


