「カイトのポケットから落ちたのとったのよ。へー…あんたそぉ」
「なんだ」
ピラッ
ミュラは紙くずを開き、中を見せてきた。紙くずに書かれていたのは…
「〈カイトへ。あの駄菓子屋いっていつもの買ってきてくれ。あ、今回は俺の部屋じゃなくて<管理課>まで届けてくれな!ナガトより〉……ふーん?」
ミュラの視線が痛々しい…。
ナガトさんはよく、お気に入りの駄菓子屋で駄菓子を買う。度々付き合わされていたため、ナガトさんがなにをよく買うか、覚えてしまっていた。
そのため、ナガトさんは駄菓子のストックが切れると俺に買い出しを命じる。食堂の蕎麦と交換で。俺にとったら悪い話ではないので、請け負っている。
「なぁに?あの人はあんたに買い出しを命令してるの」
「食堂の蕎麦と交換でな。しかも蕎麦大盛券付きで」
食堂では、券で大盛にできるのだ。
「ったく!あんたも大盛にできるからって請け負うんじゃないわよ!帰ったら一言いっておかないとね…」
ミュラは紙くずを更にグシャグシャにまとめ、自分のポケット突っ込んだ。


