「あなたもそうだけど、私だって辛いのよ。あなただけじゃないわ」



声の主は、声からして男の人。声の主……<彼>は私の何を知ってるの?



聞いても答えてはくれなそうだけど。



〈それもそうだね。…君の使命が果たされるとき、記憶も戻る。それまでの間、新しいアスティラとなって好きに生きろ〉



「新しい、私」



トクン…



「……?」



今心が跳ねた気がする。<彼>の新しいアスティラとなって好きに生きろ。その言葉に心が反応したみたいに…。



〈もう僕は行かないと…。一つだけ言えることは、使命が果たされるとき、君の全てが解る〉

「待って!どこに行けば、使命は果たされるの?」


〈…ある一人の男のもとへ行きなさい。そこで使命は果たされる。そして、今僕と話していることは、ほとんど消さなくてはならない。だから君は無垢のアスティラだ〉


無垢のアスティラ…。



〈君は指命を果たすんだ〉



「男の名前はなんて?」


〈……カイト。冷たい男さ。アスティラ、もう僕は行かないといけない。君のことは見守っているよ〉



ガクッ


「――!?」