とりあえず俺はさっさと仕事に戻って、<魂>を刈って寝たい。 ミュラのお陰で身心ともに疲れた。



「私さっきから言ってることが滅茶苦茶だね。気にしないで?いつものことだから。よくナガト兄さんから注意されるの」


「……知りたいなら、知ればいい。それを止める権利は誰にも無いからな」


「ありがと、カイト。…さ早く仕事に戻ろ?」


ミュラは俺を見てクスリと笑うと、また足を動かし屋根を飛びうつった。


俺は人間になど感情を持たないことにしている。過去に、<死神連合>に入ったばかりの頃に、ある死神が人間に感情を持ち仕事を放棄したからだ。


…そいつは重大な仕事を受け持っていたが、放棄したがゆえに死んだ。俺の目の前で。



俺を見て笑いながら死んでいくそいつに、手を差し伸べもしなかったし、声も掛けなかった。ただ死にゆくそいつを見て決心した。



――人間になど、感情を持たない。信じられるのは己のみ。



そう、今仕事を一緒にやっているミュラでさえ、俺は信じちゃいない。


……死神カイト。



これが俺だ。人間でもない、死を運ぶ、神。――死神。