廊下を歩く看護師と眼が合って会釈される。会釈し返して、ミヤシタに視線を移す。 カツンカツンと松葉杖をついて、こちらに近付いてきた。 「ちょ、いいよ。ちゃんと寝てろよ」 「これ見ろよ、これ。引っ掻かれた」 「うわ、本当だ」 「ミカミの前世って猫?」 いや、それは知らないけど。 上頬に三本の引っ掻き傷。ミカミが暴力を働くとは思い難い。 「お前ミカミになんかしたの?」 「違うっしょ。クラギの昔の男ってことで怒ってたんだろ、相変わらず男心分かってないな」