「姉ちゃんの家族は?」 黒いマフラーに顎を埋めながらそう聞く小学生。 あたしは首元に手を当てながら口を開く。 「全員死んだ」 「え?」 「あたしを産んだ人も、その人と結婚した奴も、お兄ちゃんも」 吸い終わった煙草を下に落として踏みつける。それを拾って持っていたケースに入れた。 イマドキ珍しい礼儀のある不良だろう、なんて思ってみる。 未だ目を丸くしている小学生は立ち上がるあたしを見上げた。