三希の目にはうっすらと涙が見えた.
「おねぇちゃん...お兄ちゃん・・・
ケンカしたらダメだよ」
幼い子の目には、この光景がケンカに見えたのだ.
だからあの子は・・・
「大丈夫だよ.
俺たちはケンカしてない.
ただの話し合いだよ」
「本当?」
見かねた宇川くんは、三希と目線を合わせて説得させた.
「本当だよ. な?」
そして同意を求める宇川くん.
ハァ.
心の中でため息をつき、私も三希と目線を合わせて同意した.
「今はケンカしてるんじゃないよ.
大丈夫.
三希が思っているような悪い関係じゃないからね」
「そっか!よかった!!」
私達の険悪なムードの正体を晴らすと、三希は満面の笑みになっていた.
そして宇川くんは、「おまえはそんなこと言えるんだな」と言いたそうで、驚いている.
「じゃあ三希も起きたことだし、このお兄ちゃんと一緒にお家まで帰りなよ」
私はさっさとこの2人を追い出そうとした.


