ようやく一大事を呑み込んでくれたな.
と言いたげそうな、彼の笑顔.
「ちょっとおまえ、これ持ってろ」
宇川くんは私に自分のカバンを出す.
私に有無を言わさずに持たせ、彼は濡れている少女をおんぶした.
「もう少しで温かくなるからな~」
「ありがとう! お兄ちゃん」
この少女が宇川くんにお礼を言う.
『ありがとう、お姉ちゃん』
そして思い出す.
またこの展開...
何も起こらないよね?
「どうしたんだよ? ほら、行くぞ」
「・・・うん」
私は不安を過ぎらせながらも、自分の家へと足を運んだ.
ー家ー
「お邪魔しまーす!!」
元気よく挨拶をする、少女.
「失礼します」
そして宇川くんも.
「あんたはここまで.
これ以上入らないでよ?」


