「私、あんたの弟好きじゃない。


嫌なことを思い出しそうだから。


そういうことだから、あんまり弟と会わせないで」


宇川くんを傷つけるために言った言葉じゃない。


ただ私が過去から逃げたいから、出した言葉。


それを彼はーーーー真剣に受け止めて、私に言った。



「俺の弟を悪く言うんじゃねぇ。


おまえやっぱり、嫌なやつだな。


気持ちがそんなんだから、物事を前向きに見ることができねぇんだよ。


もう少し大人になれよ」


宇川くんは大きな声で言ったため、教室中に彼の言ったことが響いた。


だから教室にいた人みんながこちらに視線を送る。



「れおと、加奈ちゃんに何言ってんの?


そんなこと言ったら可哀想じゃん。


もう少し加奈ちゃんの気持ち、考えようよ」



朝壬さんがスゴいスピードでこちらに駆け寄ると、宇川くんに言った。



「最初から私はこういう人!


だから余計な忠告はしないで!!


大体あんたから私に関わろうとしているんだから!


それなのに何?逆ギレ?意味わからない。



・・・どうしてそっとしておいてくれないの?」