好きのおもさ


次第に呼吸が乱れてきた.


あの時のことを思い出してしまったからだ.


思い出したくないのに、次々に過去を思い返してしまう.


もう嫌だ、と思うけどどんどん先を見てしまう.


嫌だ・・・.


こんな事.



<数日後>


夜も深まり、私は晩ご飯を作ろうとしていた.


冷蔵庫を開け、材料を見る.


チャーハンを作ろうとしたが、油として使用するバターが見つからない.


違う献立を考えようとしたが、夏の暑さのせいであまり頭が働かない.


仕方がなく、近くにあるスーパーに走った.


「ありがとうございました~」


店を出るとモアーンとあっつい空気が私を暖める.


「兄ちゃん、早く入ろうよ!!」


暑さにいらつきを感じていると、8歳くらいの男の子が言った.



「そんなに早く行かなくても、しまんねぇぞ.

落ち着けよ、このくそ暑い日なんだからよ」



聞き覚えのある声が私の耳に入った.


「あ・・・」


声を出したのは向こう.  宇川くんだった.