でも私は違う.
最初に私に勇気づけるようなことを言ったのも、私を楽しむだけだったんだ.
私の家に入ってアルバムを捨てないようにしたのも、全部楽しむだけだったんだ.
私の踏み入れたくない過去にわざと踏み込んで、楽しんでいたかったんだ、宇川くんは.
やっぱり・・・.
本気で宇川くんの言葉を受け入れようとした私がバカみたい.
「どうした?
加奈ちゃん」
宇川くんの言葉で下をずっと見ていた私に、気遣ってくれる鴫宮くん.
新たな事実を知り、私はいらつきでいっぱいだった.
「ゴメン.
これ以上ここにいたら、もっと空気悪くしそうだから帰る」
わたしは早口でみんなに言ったら、すぐさま店から出た.
今まで宇川くんと接してきたことを後悔する.
あの人と向き合っていた私を軽蔑する.
「加奈ちゃん、待って!!」
朝壬さんが私の後を追ってくる.
でも私は振り向かなかった.
「待ってよ!!
加奈ちゃんにとってれおとのあの言葉は、受け止めがたいことってわかってるけど・・・
まだもう少し一緒にいようよ!!」


