ううん、全然あり得ます。 落とし物の1つや2つ、余裕で。 少しだけ自分の身の回りを確認したあと、男の子の前まで歩いていく。 「あーえっと……ありがとうございま……」 ゆっくり手を差し出すと、綺麗な手があたしの手の上で開かれた。 「……え?」 だけど一向にあたしの手のひらは、空。 なにも、ない? え、まさかこの人。 「……嘘ついたんですか?」 「嘘じゃ、ないよ」