『その人なら今あなたが聞きたいこと、教えてくれるから』 上村先生は、確かにそう言っていた。 じゃあやっぱりこの人、あたしが保健室にいた理由を知ってる? 「あの、立川先輩」 思い切って振り向くと、あのときと同じように、整った笑顔の立川先輩がいた。 「――ん?なに?」 「あ、あの……」 ――なのに、本人を目の前にしたら、何も言えなくなる。 なんで?どうして? ただあたしが保健室にいた理由を聞くだけじゃん。