「千亜樹ちゃん!」 屋上のベンチに腰掛けていると、見なくてもわかる、晴真先輩の声。 目を開けると、息を切らした晴真先輩があたしを見ていた。 ――走ってきたの? 髪が乱れて、オデコが見えてる。 「晴真先輩、髪」 「え?あ、ボサボサ?」 ベンチから身体を浮かせて、乱れた色素の薄い髪をおさえる手に、あたしは手を重ねた。